公募要領59ページの言葉を数えてみたら、「場合」が273回出てきた

中小企業にとって、国や地方自治体の補助金の活用はとても有効な手段になります。
一方で、採択、交付に向けた資料の作成、条件の達成など、実際に補助金を得るまでにはいくつかのハードルがあることも事実です。
実際に補助金申請を検討して、公募要領をパラパラめくってみて『なんだか条件が多くて厳しそうだな…』と感じた人も多いのではないでしょうか。

今回は、公募要領に使用されているキーワードに着目し、AIも活用しながら補助金がどのように設計されているのかを見てみました。
対象とした補助金は、新事業進出補助金です。
第4回新事業進出補助金の公募要領は59ページありますが、その中でどのくらいの回数、設定したキーワードが使われているのかを数えてみました。

59ページで90回の「~ません。」

まず注目したのは、「できません」「認められません」「対象外」といった拒絶ワードです。いきなりネガティブなキーワードではありますが、今回は「ネガティブを紐解く」をテーマに進めていこうと思います。

ここで見たのは以下の6つのキーワードです。

「ません」:90回
「対象外」:38回
「認められません」:27回
「なりません」:25回
「取り消し」:9回
「できません」:6回

「ません」が90回出てきます。これは、「認められません」にも含まれるので重複していますが、つまり、こうした「してはいけない」、「認められない」、「できない」、といったような記述が90か所はあるということです。公募要領は59ページですので、1ページに平均約1.5回出てくる計算になります。ここからまず、多くの「してはいけないこと」があるということがイメージとしてつかむ事ができます。
また、「対象外」も38回と非常に多く出てきます。わざわざ「これは対象外です。」と記述を38回もしているわけですから、これは気を付けないといけません。

さて、次に『必要』、『要件』といった求められる条件に紐づくキーワードを見てみます。

「必要」:116回
「要件」:85回
「しなければ」:6回

驚くのは「必要」が116回と1ページに平均約2回は登場していることです。「要件」も85回と多いですが、何かが必要ですということを116回も言っているということにも注目すべきです。満たす必要のある条件が多くあるということがここからつかむことができます。

手続き書でもある公募要領

続いては、申請条件に関連しそうなキーワードです。

「確認」:71回
「提出」:52回
「報告」:45回
「付加価値」:43回
「賃金」:42回
「返還」:33回

「付加価値」「賃金」の2つは、公募要領の冒頭に記載されている、この補助金事業の目的、
「中小企業等が行う、既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とします。 」
に含まれる2つの大きなテーマであることからもわかる通り、「付加価値」43回、「賃金」42回とかなりの頻出ワードになっています。
そして、「確認」「提出」「報告」この3つは、その2大テーマよりも回数が多い。公募要領という資料の性質にも起因しているのはもちろんですが、理念として掲げられているテーマ以上に、「手続き」が重視されている資料であることも見えてきます。
また、「返還」が33回でてきます。必要な条件を満たさなければ返還するということが起きるのは想像はできますが、33回そのキーワードが出てくるほど、返還についての説明がされているということになります。

最多頻出ワード「場合(273回)」の意味

そして最後、数えたキーワードの中で最も回数が多かったのが、「場合」です。

「場合」:273回

なんと273回とぶっちぎりの回数です。1ページに平均約4.6回出てきていることになります。「場合」が273回出てきたということは、この公募要領が「一本道の説明書」ではなく、「条件によってルートが分岐していくフローチャートのような資料」であることを示していると捉えることができそうです。つまり、「読む」だけではなく、「自分がどのルートにいるのかを確認しながら進む」ことが求められる資料だと言えるのではないでしょうか。
273通りの分岐があるわけではないはずですが、それほど「場合」という言葉を使って、様々な想定されるケースに対して、説明をしているということになります。

まとめ

さて、ここまで見てきたことをまとめると、してはいけないことがたくさんあって、満たさなければいけない必要な条件がたくさんあって、「付加価値」「賃金」の二大テーマに対応し、いろいろな場合に対して、しっかりと気を付けて対応する必要がある。ということがイメージとしてつかめます。
つまり、公募要領は「読むもの」というよりも、「自分が条件に当てはまっているかを一つずつ確認していくもの」として向き合うことが大切だと言えそうです。
なんだかすごく大変そうに感じてしまいますが、逆に言えば、条件が明確に示されているからこそ、そこを一つずつ確認していけば採択に近づいていくことができるとも言えるのではないでしょうか。

最後に、人気のAI、NotebookLMに公募要領を読ませて、ここまでの内容から必要なことを満たさずに不採択を避けるためのルートの図解を作ってみました。

※この図解はAI(NotebookLM)を用いて、公募要領の複雑な条件分岐を視覚化したイメージです。実際の申請にあたっては、自身の該当ルートを詳細に確認することが必要です。

これをこのまま条件図として使うことはできないかもしれませんが、ある程度何に気を付けて進める必要があるかのイメージを持つことができる図ができたかなと思います。

公募要領は、一見すると分量が多く、条件も複雑に感じられる資料です。しかし、こうしてキーワードの使われ方を見ていくと、「どこに注意すべきか」「どの順番で確認すべきか」が少しずつ見えてきます。
今回の図やキーワードの整理が、公募要領を読み解く際の小さな手がかりになればうれしく思います。